幼馴染はどこまでも俺様過保護

持ってきてくれた、っと楽しそうに手を出す女。この女の顔を見るだけで反吐が出そうになる。『忙しいのにごめんね?』とか『いつも悪いわね?』とか社交辞令と言うものをこの人は知らないのか!?

この女にそれを求める私が馬鹿って事か…

ああ、早く終わらせて帰ろう。

「今月はこれだけしか無理だから」

私が差し出した銀行名の入った封筒を女が奪い取り、中身を確認する。

「ちょっと少な過ぎ!これじゃ足りないって!もう少しよこしなさいよ!」とそれをテーブルに叩きつけた。

「……だから、今月はこれで精一杯なの」

今月は隼翔に返さなきゃいけないお金がある。それでも余裕のない中、少しでも渡してやろうと思っているのに…この女は私の好意をなんだと思ってるの!?

「あっそ?じゃ、隼翔君に頼みに行くからいいわ!」

女は捨て台詞を言うと吸っていたタバコを灰皿に押し消した。

「ちょっと待って!!隼翔には関係ないでしょ!!」

「あんたが出さないなら仕方ないでしょ?それともあんた名義のあの家私にくれる?」

あの家とは私が生まれ育った家。それが私名義になっているなんて知らなかった。いつから?私名義なら税金関係の書類が送られて来る筈、でもそんな物は知らない。

「あげるも何も私にはなんの事か分からない。とにかく今月はこれで帰ってよ!」

もぅーイライラするな!!休憩の時間が無くなるじゃない。

「じゃ、あんたの作るアクセサリーの独占契約を私と結びなさい?」

私に微笑む女の目は笑っていなくて、初めて会ったあの日と同じ冷たい目をしている。

「独占契約って何?」

「あんたがいま噂のアクセサリー作家miu-la-umiなんでしょ?」

え?





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