幼馴染はどこまでも俺様過保護
隼翔は説明する気はないらしく、拒み握りしめた私の手を広げ、そのまま指輪を嵌めた。
「隼翔!!」
「煩い!時間が無い」
もしかして… 婚約者に逃げられた?
哀れみの眼差しを向ける私に隼翔が溜息をつく。
「勘違いするなよ?婚約者に逃げられたとか、そんなんじゃないからな!」
「いいって!私に隠さなくても、どうせ隠してた俺様な性格が婚約者にバレたんでしょ?可哀想に…」
私は慰めるように隼翔の肩を叩く。そして諭すように話す。
「でもね?婚約者に逃げられたからって、私が身代わりになるのはおかしいから」
「ちっちっげぇわ!俺の婚約者は初めから蒼海だから!その服も靴も、それからこの指輪も蒼海のために用意したものだ!」
隼翔は私の左手に口づけをした。
「ばっバカバカ!何するのよ!」
「そんなに照れるな、まぁ紅くなってる蒼海も可愛いけどな」
そりゃー、手でもキスされた事ないんだから、照れるというか、恥ずかしい。
「照れてない!分けわかんない事しないでよ!なんで私が隼翔の婚約者なのよ!?私は隼翔と婚約なんてしてないし、する気も無い!誰ともしないの!!そんな事は隼翔なら知ってるじゃない!なんでこんな事するのよ!」
本当に分けわかんない!
私はあの人に捨てられてから、家族なんて要らない、一生持たないと決めた。だから、恋愛もしてこなかった。好意を持たれ告白をされても断り続けた。
二度と愛する人から捨てられるのは嫌だ。もしかしたら、私が相手を捨てて傷つけるかもしれない。
あの人の様に…
その事は隼翔にも話していた。隼翔は悲しい顔をして私の話を聞いて慰めてくれた。だから私の気持ちを分かってくれてると思っていたのに…
「その話は後だ!今は時間が無い。兎に角、大勢のお客様の前で俺に恥をかかせるな!」
隼翔は婚約者を紹介する事は決まっているから、協力しろと言う。