幼馴染はどこまでも俺様過保護
隼翔に恥をかかせるなと言われ、仕方なくその場しのぎではあるが、婚約者役を引き受ける事になった。控室からパーティー会場へ繋がる通路で、隼翔と私はパーティーへ出るタイミングを待っていた。
「おい!その仏頂面なんとかしろ!」
と、隼翔にデコピンをされた。
イッたー! この顔は生まれつきだ!
私は緊張で強張る頬を叩き、なんとか笑顔を作ろうとしていた。すると隼翔は、頬を叩く私の手を握りじっと見つめる。私は仰け反り逃げようとするが、壁にぶつかり逃げ道を失う。
「な…なに?」
「蒼海…本当に綺麗だ」
え?…
隼翔の顔がゆっくり近づいて来る。
な、なにするの?
「目を閉じろ」
「は、はい」
思わず返事をしてギュッと目を瞑ると、唇に柔らかい物が当る。目を開ければ、隼翔の顔が分からないくらいに顔が近い。
え?なに?
私…キス…されてる?
隼翔は離れると右口角を上げて笑う。
顔がカァーと熱くなる。
なんで…なんでキスしたの…
訳わかんない。
「そろそろ行こうか?」
隼翔は腕を組めと私に左腕を向ける。
「う…うん…」