幼馴染はどこまでも俺様過保護
司会者の進行に合わせて、隼翔と一緒にステージへ上がる。
「本日はご多忙の中、お集まりいただき誠に有難うございます。既ご案内させて頂いておれます、我社の新起業をご紹介したいと思います」
隼翔の言葉で、会場の中央に置かれ白い布で覆われた、ガラスケースに照明を集める。そして宙を舞う様に白い布が外される。
「そちらは、ここに居りますアクセサリー作家miu-la-umiの作品です。これからは我社のネット販売にて皆様の元へmiu-la-umiの作品をお届けしたいと思っております」
隼翔の発表で会場からは驚喜の声があがる。そして隼翔は私に挨拶をしろという。
え?
こんな大勢の前で挨拶なんて…
「今日はお前が主役だ。自分の思ってる事を伝えれば良い」
隼翔はそう言って私の背中を押してくれる。
良いの?私の思ってる事を…
隼翔は微笑んで頷いてくれた。
「……miu-la-umiです。私はアクセサリーを作る事が好きで…私が作った物を気に入って付けてくれる、それだけが嬉しくてフリーマーケットに出しておりました」
会場にいる皆んなが私の話に耳を傾けてくれている。だから、頑張って自分の気持ちを伝えよう。
「でも…気に入ってくれた訳じゃなくて… 自分が付ける為でもなく、転売目的で買われている事を知りとても悲しくて… フリーマーケットに出すことを辞めました。勿論、買われた人がどうしようが、勝手だと言われたらそうなんですけど…」
ステージの端には澪ちゃんも居てくれて、頑張れと両手で拳を作り応援してくれてる。
「それでもやっぱり、本当に欲しいと言ってくれる人の為に作りたいです。お小遣いを貯めて妹の誕生日プレゼントにと、言ってくれた女の子の様な人達の手に届く様に」
誰もが手の届く正規の金額で届けたい。