幼馴染はどこまでも俺様過保護
控室に戻ると澪ちゃんがシャンパンを用意してくれていた。
「ねぇ乾杯しよ!お兄ちゃんと蒼海ちゃんの婚約のお祝いと、miu-la-umiブランド設立成功を祝い」
「ちょっと待って!アクセサリーのネット販売はともかく、婚約の話はこの後どうするの?」
こんなに大々的に発表して、あれは冗談でしたで済むの?
「どうするも何も後は結婚式の準備でしょ?ねぇお兄ちゃん!」
「ああ、籍はすぐにも入れて、式は新店舗の準備が済まないと無理だな」
「はぁ?!二人とも何勝手な事言ってくれてるの?冗談だよね!?」
「冗談じゃ無いよ、お兄ちゃんはずっと蒼海ちゃんの事が好きだったんだから!蒼海ちゃんだってお兄ちゃんの事好きでしょう?」
ずっと?…
隼翔を見れば、逸らした顔が少し赤い。
え?
「お兄ちゃん!いつもの俺様はどこいったのよ!?はっきり言ってやりなよ!」
澪ちゃんに背中をバッシンと叩かれた隼翔はまっすぐ私を見た。
「蒼海、俺は蒼海の事ずっと好きだった。蒼海を幸せに出来るのは俺だけだ!」
揺るぎない瞳
いつも自信に満ちたふてぶてしいまでの存在感
私にはいつも俺様で、私の事なのになんでも勝手に決めて、私が知る時には全て決定事項になっている。
このネット販売を立ち上げる事も、勝手に進め、私には拒む事さえ出来ない。
「俺と一緒になろう」
本気なの…
「俺を蒼海の本当の家族にしてくれ」
私の家族…
「でも…」
「これでも、俺のプロポーズを断るつもりか?」
「本当に…私で良いの?あの人の…娘だよ?」
「蒼海が良い」
「あの人みたいに…隼翔を…捨て…隼翔から逃げ出すかも…しれないよ?」
「蒼海が俺から逃げたら、俺は何処までも追いかける。俺は絶対に蒼海を離さい」
「隼翔…」
「だから、俺のプロポーズを受けろ!蒼海に断る権利も権限もない!」
冷たく強い口調だけど、隼翔は笑ってる。