幼馴染はどこまでも俺様過保護
『蒼海のママはどうして来ないの?』
『蒼海ちゃんがお利口にしていると、きっとママが出来るよ』
私は先生の言葉を信じていた。先生の『ママが出来る』と言う言葉の意味も分からず、お利口にしていればママが迎えに来てくれるって信じていた。でも、どんなに待っても私のママが向かえに来る事なんてあるわけ無く、仕事で忙しいパパの代わりにいつも迎えに来てくれるのはお手伝いさんだった。
『パパ、ママは蒼海の事嫌いなの?』
『どうしてだい?ママは蒼海の事を大好きだよ。世界一、蒼海の事を愛して居たよ』
『じゃ、どうしてお迎えに来てくれないの?さっちゃんのママも、ゆう君のママも、皆んなママがお迎えに来てくれるよ?さっちゃんねママとケーキ作ったんだって!蒼海もママとケーキ作りたい』
『蒼海はママが欲しいかい?』
『うん!ママにギュッてして抱っこして貰うの』
でも…そんな私の思いが叶うことはなかった。
小学生になる頃には母の居亡い事を受け入れて、寂しいながらも自分には優しいパパがずっと側に居てくれると信じていた。
だが、ある日父は知らない女の人を連れて来た。
『蒼海、今日からこの人が蒼海のお母さんだよ』
お母さん?
その人は身を屈め『蒼海ちゃん宜しくね?』と私に微笑んだ。だが、目は笑っていなかった。子供心にこの人は私の見方ではないと感じた。