恐怖ダイエット
恐怖ダイエット
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「清水さーん、あたし、やっぱりダメー。怖い」
目の前には、背たけ以上にのびた茅の草むら。
あたしは立ちすくんで、一歩も足をふみだせない。
「なに言ってるのよ。怖いから効くんじゃない」
ふり向いた清水さんの顔は、暗くてよく見えない。でも、いらだっているのは確か。
「だってぇ」
あたしは泣きそうになる。
あたしたちは、市内のまん中を流れる山衣(やまい)川という川の河川敷に来ている。
西の空はまだ少し明るいけど、あたしたちのいるあたりは、ライトなしでは歩けない暗さだ。
近くを流れる川の水音が聞こえる。
空気がひんやりとして、ひどく淋しい。
「だってじゃないでしょ」
また清水さんにしかられた。「あんたには、もうこれくらいしか、やせる方法ないでしょ」
「う……」
そう言われると、ひとことも言いかえせないよ。
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