恐怖ダイエット

    *

あたしは市内の公立高校に通う一年生。

はっきり言って太ってる。

あたしには「ほたる」っていうかわいらしい本名がある。

でも、陰ではみんなに「ブタルちゃん」って呼ばれている。「豚」と「樽」を合わせたあだ名だ。

友だちはいない。

たまに清水さんが声をかけてくれる程度。

太っているせいで、ふたつ下の弟にまでこんなことを言われる。


――恥ずかしいから、外でおれに近づくなよな。


とっても悲しい。

やせようとして、いろいろダイエットしてみたけど、どれもダメだった。

ちょっぴり体重が減っても、すぐに元に戻ってしまう。

クラスに今岡くんていう、かっこいい男の子がいる。

玉砕覚悟で告白したいけど、清水さんに鼻で笑われてしまった。


――あんた、人の迷惑、考えなさいよ。


きついことを言われたけど、そのあと、ちゃんとフォローしてくれた。


――あたしの従妹にやっぱり太ったのがいてさ、このあいだダイエットに成功したんだ。あんたも、それ、やってみる?


それは恐怖ダイエットという方法だった。



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