恐怖ダイエット
*
気を失っていたのは、ほんの少しの間らしい。
ゲラゲラと笑う声で、あたしは意識を取りもどした。
場所は同じ草むらの中の空き地だ。
五個のLEDライトの光が、あたしを囲んでいた。
みんながあたしを見おろして、あざ笑っているのだった。
「あー、おっかしー」
と、おなかをかかえているのは、清水さんだ。
骸骨の衣装の、顔のところを脱いでいるのは、同じクラスの木田くん。
白い手袋をはめているのは、やっぱり同じクラスの須藤くんと中川くん。
それから……。
ああ、なんてこと。
あたしが片想いしている今岡くんまでいた。みんなといっしょに笑っていた。
ようやくあたしにも呑みこめた。
ドッキリカメラみたいなものだ。
恐怖ダイエット、だなんて言って、クラスのみんなで、あたしをからかって、笑いものにしたんだ。
ひどい。ひどいよ。
おまけに、今岡くんまで……。
あたしはポロポロと泣いた。
泣きながら、やっとのことで立ち上がった。
笑うみんなに背を向けて、草をかきわけていった。
どう歩いたのか、全然おぼえてないけど、気がついたら家に帰っていた。
そして……。
その日から、あたしは寝込んでしまった。