鷹なし、ことり。
私は小さく舌打ちをした
「大体なんでアンタがここにいんのよ!?」
「あ?家が隣だからだろうが。」
そういうんじゃねえよ!!!!!
「理由になってないので句読点も含めて三文字以内で説明してください」
「…無理だっつの…」
タカは綺麗な顔を般若のように歪ませてから口の端を引き攣らせた
コイツの名前は小鷹 翼。どんだけ鳥なんだよ!
え?私も人のこと言えないって?
私、小鳥遊 ことりは名字、名前にそれぞれ「ことり」が入ってるけど…読み方は「たかなし」、だからね!?
なんでも昔の人が「鷹がいると小鳥が遊べないから」っていう理由でつけた名字らしい。
実際には、私の名前には小鳥×2と第3者である鷹が入ってくるから3個鳥がいることになるけど…
「おら行くぞ。初日から遅刻とか洒落にならねえから」
はっ
そうだった!呑気に名前の由来とか説明してる場合じゃないよ!行かなくちゃ!
えっちょっと待って
…あれ?『いくぞ』?
一緒に行くってこと?
なんで?コイツは確か隣の町の高校を受けたはずじゃ…
ちなみに私がこれから毎日通う高校は
通称 高高…高砂高等学校
同じ漢字が二つ並ぶとかちょっと気持ち悪いよね!
読み方もたかたか ですごく変な感じ。
たかたかって目の前にいるコイツのこと呼んでるみたいじゃん
「気色悪っ」
「あ゙?」
思わず思ったことが口に出てしまった
ここは素直に謝ろう
「あ、いやなんでもないの。ただなんかアンタの無駄に整った顔がムカついていっそ不細工になってしまえって呪…願ってたんだけど」
私は反省してる風を装って言う。
「てめぇことり心底申し訳無さそうに言うんじゃねえ。そして呪うって言いかけてたよな。」
いちいちめんどくさいなコイツは
そうだ、話を戻しましょう
「んで、どこへ行くって?」
「高高。」
んんん?おかしいな高高って聞こえたような
「だから、高高。」
「聞こえてるわ!!!!!!」
「うおっなんでキレてんだよ。俺はただお前のことだから『今え?コイツ今、高高って言った?』とか考えてんのかなって思って本気で…」
私が思ったこと当ててんじゃねえよ!!タカのくせに
なんで?コイツついてくんの?え?いやなんでだよ
「アンタの通学路私と真反対でしょ?」
嘘。私はコイツの通学路なんて本当は知らない
だって興味無いもん
いまいち状況が理解出来ない私だが次の一言でこれから始まるであろう地獄への恐怖とともに現実に突き戻されるのであった
「いや、俺もここだから。」