下町コインランドリー




「すーずーちゃーん!!!!」




次の日、朝から高村さんの声が聞こえました。




慌てて外を見ると、両手をぶんぶんと振る高村さん。


そして、その隣にはキレイな女の人が立ってました。




バタバタと階段をかけ下りて、コインランドリーへ向かいます。






ハイテンションな高村さんに、少し困ったように微笑む女の人




きっと、この人が噂の元カノさんなんでしょう。




いや、今となっては婚約者。




二人の指に輝く同じ指輪。





ズキズキと胸は痛むけど、不思議とそれよりも暖かさが広がっていきました。




聞けば婚約者さんは、高村さんが女の人とジュエリーショップに入っていく姿をみて、浮気だと思い、別れに踏み切ったんだそうです。



実際は高村さんが職場の人と、婚約者さんに渡す指輪を見繕いに行った瞬間だったわけだけど。




そして疑いも晴れて、問題の婚約指輪は無事婚約者さんの元に届きました。



おめでとうございますと言うと、高村さんはなぜか涙ぐんでありがとうと言い、婚約者さんはそんな高村さんの背中をバシッと叩いて





そして、幸せそうな二人から、小さな紙を渡されました。





『すずむらちあき 様
高村千彰と佐倉千暁の結婚式に来てください!』





少し崩れた字で書いてあるその名前に、思わず笑ってしまいました。





「下の名前好きじゃないから」




いつの日かの高村さんの言葉、あれはきっと同じ名前で気恥ずかしかったからだったんですね。



私のことを鈴ちゃんと呼ぶのも、自分と千暁さんと同じ名前だったからなんですね。





「高村さん、私、高村さんと出会えてよかった!ぜひ、出席させてください!!!!!!!」





私の言葉に、幸せそうに微笑む二人。



その顔に、私の行動は間違ってなかったんだと確信しました。




私の恋は終わってしまったけど、きっとそれが実るよりもずっと幸せな気分だと思います。




高村さん、大好きでした。





お幸せに!











――――鈴ちゃんと高村さん fin――――







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