ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
「せっかく準備してくれたのに……。ごめんね」
あきくんに腕を引かれてベッドの端に一緒に腰を掛けた。横にいるあきくんが頭をゆっくりと撫でてくれる。
「そんなこと気にしてるの?だって友達と飲みに行ったんでしょ?祝ってもらえた?」
あきくんの言葉にまた胸がズキンと痛む。嘘をついたこと、あきくんが嘘を信じていること、そのどちらもわたしの罪悪感を大きくする。
「違うの、あきくん、違う」
「違うって?」
「違うの……ごめんなさい、わたし今日本当は……」
一瞬、わたしの頭を撫でるあきくんの手の動きが止まった。
「そっか。いいよ、気にしないで。おれがまだ前に進む方法を見つけれていないだけだから」
優しく包み込んでくれる声でそう言い、再び頭を撫でる手が動いた。
あきくんはきっと、わたしのあの言葉で察したんだ。セフレと過ごしてきたことを。なんとなく、そう思う。
「おれはあゆさんに怒れる立場じゃないしね。ここに一緒に暮らしてもらってるし、それ以外にも、ね」
それ以外はきっとセックスのことを指している。