ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
あきくんの腕もわたしを包み込んだ。
「ケーキ食べる?」
あきくんの声が頭の上で響く。
「ううん、今はまだ……」
まだこうしていたい。
「そっか」
少し身体を離し、お互い顔を合わせる。あきくんの瞳をじっと見ていると引き寄せられるように唇を重ねた。
唇が離れて目を合わせる。そしてもう一度キスをした。
そのままあきくんと流れるように身体を重ねた。
いつもセックスの時はわたしから誘う。
でも、今日はいつもと少し違う。
決してあきくんから誘ってきたわけじゃない。なんとなく、お互い求めた、そんな感じ。
セックスに愛はないと思っている。愛なんかなくても出来る行為。
よく寂しいからと身体を重ねる人がいるけど、結局身体が離れれば寂しくなるからやっぱりこれは愛の行為ではない。寂しさは埋められない。
前は"好きだから"相手の身体を求めてたし、求められることが嬉しかった。
今はなんだろう。わたしは一体何のために抱かれているんだろう。
寂しい?性欲?愛?逃げ?自分でも分からない。
あきくんの肌に触れている時はヒデキさんとカオルの肌に触れている時とは違う。あきくんとの時は胸が温かくなる。
あきくんはどんな気持ちでわたしを抱いているだろう。暖かい彼の腕の中でふと思った。