ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
再会
*
「ふぅー」
深呼吸をした。肩が大きく上がって、そして下がった。
久しぶりに前の職場周辺に来た。この公園なんて今まで入ったこともない。初めてきた。
ブランコと滑り台だけがある本当に小さな公園。日が暮れてきてるからそれらの影が無駄に長く伸びている。地面は気持ち程度の草が生えているけど、ブランコの下と滑り台の到着部分の地面は草がなくてツルツル。土だけだ。
自分の手の甲を鼻に近づけると桜の香りがする。ここに来る前にあきくんから誕生日にもらったハンドクリームをつけてきた。
これを付けたらあきくんがそばにいるって実感できる。
あきくんにはスーパーで時間を潰してほしいと伝えた。さすがにこの小さな公園で隠れていたら不自然だもん。
今日は仕事中もソワソワして落ち着かなかった。早く時間が来て欲しいような、欲しくないような。ずっと気持ちが葛藤しててしんどかった。
もちろん今もしんどい。
会うのが怖い。でも、それ以前に本当に彼は来てくれるのだろうか。