ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


「そう、それなら仕方ないね」

ここにいないとなるとどこにいるんだろう。分からなくて不安になる。

「注文どうしますか?いつもの牛丼でいいですか?」

何度も来ているうえに同じメニューしか頼まないから最近こう言われることが増えた。

「うん、いつものでお願いします」

"わかりました"と言って、その子は席を離れた。改めて店内を見渡すけど、やっぱりいない。

今日はお客さんが少ない。カウンター席に2人。テーブル席には1組しかいない。

お客さんが少ないからか、3分もしないうちに牛丼がやってきた。持ってきたのは注文を聞いた男の子だ。

「はい、牛丼です」

昨日も食べた牛丼が目の前に置かれた。伝票を置いたと同時に男の子がまた話しかけてきた。

「相澤から何か言われませんでしたか?」

「え?」

バクンと心臓が鳴った。何、何のこと?

「あー、相澤のやつまだ言ってないのかあ。まあ久しぶりのことだから仕方ないかー」

久しぶりのこと?何のこと?

「何かわたしに言うことがあるの?」


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