ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


「お姉さんは相澤のことどう思ってますか?」

「あきくんのこと?」

唐突に聞かれて戸惑う。彼は一体どういうつもりでこの質問をわたしに投げかけているんだろう。

「あいつ今まで好きな人できても自分から行かなくて。相手から告白されても断ったりとかして彼女作らなかったんですよ。まあ、恋愛の話すらあまりしてくれなかったんですけどね。彼女作らない理由は教えてくれないけども」

あきくんが彼女を作らないのは女の人とセックスがこわいからだ。そんなことバイト仲間には言えないだろう。

「そんな相澤が介護の講習行きだしてからよくお姉さんの話をするようになったんです。講習終わった後もいつもお姉さんの話題が出ていました」

わたしのことをあきくんが?

「いつもその話をする時楽しそうに話すんです。いつも笑顔だけど、その時はもっと幸せそうに笑うんです。今日の午前中もお姉さんのことで相談に来ていたんですよ」

いつも笑顔でわたしを癒してくれるあきくん。そのあきくんがわたしの話をする時に幸せそうに笑うなんて。──それって。


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