ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
牛丼
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今日は講義何回目だろうか。
月日で言うと3月末。
もう少しで4月。
あきくんの笑顔は今日も健在。
「あゆさん、おはようございます」
講習が行われるこの部屋も少しずつ見慣れてきた。
いつもの席に座ると、隣の席のあきくんが小さく手を振ってあいさつをしてくれた。
机の上に置いたカバンの中から、シラバスを取り出して今日の内容を確認する。
手浴と足浴の実技練習が入ってる。
実技練習の前に少し教科書を使っての講義があり、その後に実技練習がある。
「では、後ろで隣の人とペアになって実践してみましょう」
センター長の声を聞いて、みんな一斉に動き出す。
わたしとあきくんが座っている一番後ろにある長机は、この部屋の空間のちょうど真ん中にある。
後ろを見ると、洗面器や新聞紙が準備されている。
実技練習は毎回わたしたちの席の後ろのスペースで行われる。
「おれ、お湯入れてきますね」
お湯はこの部屋じゃなく、隣にある湯沸室でお湯を入れなければいけないらしい。