ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


宣言通り19時過ぎに家にカオルが来た。

いつもはどこかに一緒に食べに行くが、今日は宅配ピザを頼んだ。

ピザのお供に缶ビール。

カオルに手料理を出したことは一度もない。

好きじゃないからとかそういうのじゃなくて、単純に料理が苦手だからだ。

生地にチーズがたっぷり乗っていて、口に入れるとピヨーンと伸びる。

「んー、美味しい」

やっぱりわたしが作るより何倍も美味しい。

「オレはあゆちゃんの料理食べてみたいけどさ」

「わたし料理苦手だって言ってるじゃん」

知ってる知ってる、と笑いながらもう1枚ピザを取り口に放り込むカオル。

「あゆちゃんってさ、本当にすぐに家に入れてくれたよな」

ピザ屋が付けてくれたおしぼりで指先を擦って拭き取りながら彼は言う。

「家に男の人を呼ぶのが憧れだったの。元カレといつも会うのホテルだったから」

3分の1ほど残っていた缶ビールを一気に飲み干す。


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