ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


「付き合ってはないんですけど、このサンドイッチはおれがあゆさんのために作りました」

「……ッ!」

口に含んだサンドイッチを吹きそうになった。慌てて口を抑えた後、胸を軽く叩いた。

なんて事を言うの、この子は。付き合ってないのに昼食作る関係(しかも男の子のあきくんが作る)って余計に気になるでしょ。

「え?え?なんで付き合ってるわけじゃないのに相澤くんがお昼ご飯作ってあげてるの?一体あなたたちはどういう関係なの?」

やっぱりそうなるよね。佐々木さんの反応は多分普通の人の反応だと思う。

「いやー、そのー、あきくんはいつも作り過ぎるみたいで、わたしがそれをもらってる……みたいな感じですかね。ね?あきくん?」

苦しすぎる言い訳。まさか一緒に住んでますなんて言えないし。

「はい、そんな感じです」

あきくんは得意の笑顔を佐々木さんに向ける。

佐々木さんは“はぁ……“と少し納得出来ない様子だけど、あきくんスマイルを向けられて何も言えないという感じだ。

本当にあきくんの笑顔はすごい。なんか、考え事していてもその事がどうでも良くなるくらいには癒し効果を持っている。



< 61 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop