ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
佐々木さんが席から離れる。
「あきくん、あんなこと言ったらみんなビックリするでしょ」
隣にいる彼にしか聞こえないくらい小さな声で話しかけた。
「でも事実でしょ?」
悪気がない様子。佐々木さんを黙らせたあきくんスマイルを見せつけられる。
いや、わたしはこの笑顔に負けないぞ。
「いや、そうだけど、事実が“付き合っていないのに同居“なんだよ。なんか知られたら色々やばいでしょ」
「うーん。確かにあまりないパターンって言ったらそうなるなあ」
あきくんはきっとあまり深く考えていない。
「あっ、そうだ、あきくん」
「ん?」
「今日の夜ね、友達とご飯行くからわたし夜ご飯いらないからね」
今日はヒデキさんと会う。前会った時から約束している。
「分かった。じゃあ、今日のおれの夜ご飯は牛丼だ」
あきくんは講習の後にバイトがある時は夜9時まで働いて、それから帰ってきてご飯を作る。
わたしが夜ご飯いらない時はバイト先で牛丼を食べて帰るらしい。