ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
そっと、彼の顔がわたしの耳元に近づく。優しく歯を立てられて身体全体がゾクッとした。
久しぶりの感覚に思わず声が漏れる。
アルコールが入っていないのに身体が熱くなる。
今まで男の子として見ていなかった相手に性的興奮を感じる。変な感覚。
でも、この感じ、嫌じゃない。
それからゆっくりと時間をかけて、わたしとあきくんは繋がった。時々、動きが止まりながらもなんとか最後まですることが出来た。
繋がったままあきくんがわたしを抱きしめる。
ぎこちない。だけど、求められている感覚があった。時々わたしの名前を呼んでくれて、それがとても可愛くて愛おしかった。
「あゆさん」
あきくんの声は震えていた。今にも泣いてしまうんじゃないか、そんな声。
「おれ、ちゃんとできたかな?」
抱きしめられているから表情が見えない。あきくんの汗ばんだ背中に手を回す。
「大丈夫だよ」
わたしを抱きしめている腕に更に力が入る。求めて夢中になっていたさっきまで聞こえなかった電車の音がガタンゴトンと聞こえる。