ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


「あゆさん、本当にありがとう……」

そう言い、彼はわたしから離れた。

身体がだるい。ベッドの中からあきくんの背中を見つめる。

彼は避妊具の処理をし、部屋の電気をつけた。下着を履き、わたしがいるベッドの中に入ってきた。

顔が向かい合う。

「あゆさん、抱きしめてもいいかな?」

わたしが返事をする前に背中に手が回っていた。あきくんの腕の中にすっぽりと収まる。

身体が暖まる。なんだか胸の中まで暖まる感覚。

普段、こうしてセックスの後に抱きしめられることがないから不思議な感覚だ。

カオルはすぐにシャワーを浴びるし、ヒデキさんはすぐにタバコを吸いに行ってしまう。アノ人もこうして終わった後に抱きしめるなんてしなかった。

「まだ前に進めたかは分かんない」

また不安そうな声。

「あきくんは少しずつ前に進めるよ。大丈夫だよ」

わたしの方がこじらせてる。恋愛から逃げたくてセフレが2人いる。

あきくんとも身体を重ねてしまった。




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