ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
カオルに押されるがままにベッドに倒れ込んだ。
カオルの首の後ろに両手をまわす。
本能に従って、身体が動く、オトコの身体を求める。
愛しいとか、そういう感情はない。
ただ、お互いの快楽を求める、そういう関係、そういう行為。
わたしは耳たぶを噛まれるのが好きだ。
カオルにそれを伝えたことはない、だからもちろんそんなこと彼が知っているわけない。
耳たぶにはそんなに触れてこない。
なんだか、なんとなく、それを教えたら負けた気がして。
カオルが知らない自分があることで、ちょっと勝った感じがする。
無我夢中でお互い求め──彼が果てた。
わたしからすぐ離れ、すぐ浴室に向かう。
カオルはセックスの後は絶対にすぐシャワーを浴びる。
浴室に向かう姿を見て、アノ人もそうだったなって思い出す。
身体がだるくて、眠い、まぶたが重い。
とりあえず下着だけでもはかないと。
ベッドの下に無造作に投げられた部屋着たちを漁り、下着を取り出してつける。
カオルは次の日早くに予定がなかったら泊まって朝帰る。
それは今まで憧れていたこと。
カオルとは気軽な恋愛ごっこが出来る。
純粋な普通の恋ってなんだろう、もう、忘れた。