ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
「いえ、付き合ってないですよ」
やっぱりあきくんは反応が早い。
わたしはカバンからペットボトルのお茶を取り出す。フタを開けて口をつける。
「付き合ってはないんですけど、一緒に住んでます」
「……ゴホッ!」
お茶が気管に入りそうになってむせる。なんてこと言うのこの子は。この前のご飯作ってます発言も驚いたけどこの発言にも驚く。
「え?付き合ってないのに一緒に住んでいるってこと?」
「そうなんです。だからあゆさんのお昼ご飯を作っているんです」
なんで言ってしまうのかしらこの子は。
あきくんの顔が耳元に近づいて小さな声で囁く。
「もう言ってもいいじゃない?隠しても隠さなくても佐々木さんと会うのはもう最後だよ」
まあ、確かにそうだけれども。
「そうなのね、最近の若い子はすごいことをするのね~」
佐々木さんは“あっ、そうだ“と言い、カバンを手に取る。中から包装された一口サイズのチョコをいくつか取り出した。