ワケありオンナとワケあり男子の共同生活
「でもね、あゆさん。そうして悩むってことは一生懸命考えてるってことだよ。それはね、悪いことじゃないと思う」
あきくんのこういう言葉に救われる。
夕飯を食べて、お風呂に入った。
その後はあきくんと身体を重ねた。
いつも通り、わたしから誘った。
あきくんは元々器用だし、自分勝手なセックスはしない。相手のことを思ってしているのがよく分かる。相手の反応をしっかり見ている。
カオルやヒデキさんとも会ってるけど、最近はあきくんとする時が一番しっくりする。
行為が終わった後、あきくんの背中に手を回して抱きつく。
「あゆさんから抱き着いてくるとか珍しいね」
「なんか、こうしてると安心できるの」
彼の手がポンポンとわたしの頭にのる。
こうして抱きしめたり、キスしたりするのも、セックスしている時か終わった後だけ。
恋人みたいに普段から抱きしめたり、キスしたりするわけじゃない。付き合っているわけじゃないから。
セフレみたいにセックスだけかと言われたらそうじゃない。
あきくんのためのセックスなはずなのに、どこかでこの関係に居心地のよさを感じているわたしがいる。
「おれは休みだけど、あゆさんは明日仕事だからもう寝ないと」
「うん、あきくんおやすみ」
「おやすみ」
あきくんの体温に包まれたまま目を閉じた。