ワケありオンナとワケあり男子の共同生活





次の日。

ここはわたしが働いている介護施設。

時計を見ると10時前。

「オガワさん、おはようございます」

ここに入居している利用者さんの1人であるオガワさんの居室(利用者さんの部屋)に行って、挨拶をしているところだ。

わたしが働いている施設は遅番が出勤する10時は利用者さんにお茶を出す時間。

この時間は利用者さんたちが食事をするフロアに出てみんなでお茶を飲む。

たまにフラつきがあるけど、基本は杖を使って自分で歩けるオガワさん。フロアに行くまで見守りをすることになっている。

今年で85歳らしい、とても元気な人だ。

「おはようございます。今日もよろしくお願いします」

利用者さんはこうして丁寧なあいさつをしてくれる人も多い。

フロアまで一緒に着いて行き、椅子に腰をかけてもらう。他の利用者さんも同じようにフロアに出てもらい、コップに入れたお茶を配る。

「今日は子供の日ですね~」

オガワさんがわたしに言った。カレンダーを見ると5月5日になっている。わたしの誕生日だ。

「オガワさん、わたし今日誕生日なんです。21歳になります」

「まあ、若いわね。ワタシもあなたくらいの年に戻りたいわ~」


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