ワケありオンナとワケあり男子の共同生活


たった今、子供の日と言われるまで自分の誕生日が今日ということを忘れていた。

就職してから誰かに誕生日を祝ってもらったことはない。スーパーで働いていた時はゴールデンウィークは繁忙期だからフル出勤だった。

去年も、その前の年も1人でコンビニケーキを食べた。

同じ職場だったアノ人と仕事中に顔を合わせることが出来ていたからそれはそれで満足だったけど、仕事終わりに会うことはなかったから寂しかったといえば寂しかった。

まあ、もう、終わった話だけど。

「あなた、ボーイフレンドはいるの?」

お茶を一口飲んでオガワさんが言った。ボーイフレンド……彼氏っていう意味だろう。

「今はいないですね」

「そうなのね。まあ焦らずゆっくり良い人を探せばいいのよ。自分でこの人っていう人を見つけて幸せになるんだよ」

オガワさんが笑顔で言うその言葉が胸にグサリと刺さる。そんな日、わたしに訪れるのだろうか。

良い人ってどうやって見つけたらいいんだろう?

お茶の時間は少しゆっくりと利用者さんと話せるから好きだ。

もう少ししたら別のことしなきゃいけないけれども。


時間はすぐに過ぎる。利用者さんをそれぞれ居室に戻ってもらい、排泄介助に回った。

さて、今日も頑張らないと。






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