rabbit vanira
私たちはカフェに入る。


「何にする?あたし、ローズヒップティーに


しようかしら。羽咲ちゃんは?」


「アイスコーヒーで。」


「あら。ブラックでいいの?」


「はい。甘いのが、ダメで…」


「そうなの…まぁ、いろいろあるわよね。」


「…」


「ねぇ!南とはどうやって出会ったの?」


「あ、えっと…初めて出会ったのは愛菜と一


緒に宇佐木さんのお店に行ったんです。で


も、私は甘い香りもダメだったので、お店


に入れなくって…そしたら宇佐木さんに話し


かけられて…でも、宇佐木さんの香りがダメ


で、『気持ち悪いから近づかないで』なん


て言っちゃって…でも、いろんな事があっ


て、支えてもらって。気が付いたら好きに


なっていました。」


「そう。南が…」


「はい。私は宇佐木さんに救われたんです」


「…ねぇ。南から何か過去について聞いた?」


「え…?」


宇佐木さんの過去…?


「刺青は見た?」


「はい。おでこのを見せてもらいました。」


「そう…」


白薔薇さんは悲しそうな顔をする。


「私、宇佐木さんの事よく知りません、でも


絶対にいつか話してくれる事を待ちます。


だから、何も問いません。」


「うん。そうね。実は私ね心配してたの。彼


女が高校生だなんて。遊んでるんじゃない


かー、とか、高校生なんかに南の面倒見れ


るかー、とか。」


「…すみません。」


「あら!やだ、今はそんな事思ってないわ。


むしろ、羽咲ちゃんでよかった。」


「え…?」


「ねぇ、羽咲ちゃん。お願いがあるの。」


白薔薇さんは急に真面目な顔になる。


「何があっても、南から離れないであげて。


南を信じてあげて。」


「はい。」


「ありがとう。」


白薔薇さんは優しく微笑む。


「さっ。そろそろ行きましょ。そろそろ来る


んじゃない?」


「え?」


「あ、お金はいいから!」


「そんな!悪いです!」


「そうね…じゃあ、優って呼んでね。」


「じゃあ…優さん…?」


「うふ♡なぁに?」


「なんかお姉ちゃんができたみたいです。」


「そう?良かったわ。私弟はいるけど、妹が


欲しかったからぁ。」


「そうなんですね。」


お店を出ると…


「遅かったじゃねーか。」


「宇佐木さん!どうしてここに…」


「あたしが呼んだの。ほら、羽咲ちゃん一人


で返すわけに行かないでしょ。」


「優さん…」


「ほら、2人でお帰り。」


「今日は、ありがとうございました!」


「うん。」


「羽咲、何を話してたの?」


「んー。秘密です。でも、」


「でも?」


私は耳打ちする。


「私が守りますからね。」


「え…?」


「ほら!帰りましょ!」


「あ、うん。」


ねぇ、宇佐木さん。


私、もう守られてるだけじゃ嫌だよ。


あなたを守れらるように


強くなりたい。
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