rabbit vanira
私は走っていた。


宇佐木さんのお店に


rabbit vaniraに


お店の前につく。


「はぁっ、はぁっ…」


息が苦しい。


息を整えてからゆっくりとお店のドアを開


く。


開けた瞬間、甘い香りが押し寄せる。


苦しい。気持ちが悪い。


でも今はそんな事言ってられない。


「いらっしゃい…!」


宇佐木さんは私を見て驚く。


「どうしてここに…」


「宇佐木さんに、聞きたくて…」


お店の中にはまだお客さんはいない。


2人きりの店内。



「でも、学校は?」


「抜けてきました…」


「え…?」


私は宇佐木さんに抱きつく。


「私に宇佐木さんを教えてください!」


「は…?」


宇佐木さんは不思議な顔をする。


「教えるって、何を…?」


「今まで宇佐木さんは私の事ばかり聞いてく


れました。でも。」


「でも?」


「私、宇佐木さんのこと何も知らない。」


「そんなことないよ。」


宇佐木さんは困ったように私を見下ろす。


「…そうやって自分の気持ちは奥に隠して…」


「…」


「知りたいです!宇佐木さんの過去!本当は


話してくれるまで待とうと思いました。ち


ゃんと向き合わないと。」



すると顎を持ち上げられる。



「きっと、本当の俺を知ったら君は、俺が嫌



いになる。」



「え…?」
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