rabbit vanira
気がつくとそこは真っ暗な場所だった。


「ここ、は…?」


「あー、起きた?」


「…須藤さん。これはなんですか…」


見ると私は椅子に縛り付けられて身動きが


取れない状態だった。


「あはは〜そんな顔しないで。そんなに睨ま


れたら襲いたくなっちゃうじゃーん。」


「ふざけないで下さい…」


「ふざけてないよ。君は宇佐木をおびき寄せ


る『餌』なんだから。狼をおびき寄せる、


ね…」


「餌…?」


「そう。そして、愛する恋人の前で復讐する


んだ。はー♪あいつの屈辱の顔、君の泣き


叫ぶ顔を想像するとゾクゾクするよー。」


「…最低。」


「そうかもね。でも…」


須藤さんは眼帯を取る。


「本当に最低なのはどっちだろう。」


言葉を失う。


須藤さんの、左目…ない。


「気持ち悪いでしょ?俺はね、あいつのせい


で左目も族の総長としてのプライドも仲間


も…全部失ったんだよ!」


「…」
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