rabbit vanira
「ねぇ…今どんな気分?」


「え…?」


「だって、君は宇佐木と関わったせいで、こ


んな風に囚われの身になったんだよ?もっ


と泣くとか、叫ぶとかしてもらわないと。」


「別に。今まで助けてもらってばっかりだっ


たから。このくらい、どうってことない。」


嘘。


本当は怖い。


でも、


弱みを見せたら負けだ。


だから。


負けない。


「ふーん。」


すると奥の方から声が聞こえた。


「須藤さん…そいつが宇佐木の女ですか?」


「ああ。」


「…あ!こいつ!」


「知ってんの?お前。」


「俺、こいつの事突き飛ばしたんすよー。」


「え…?」


私は耳を疑う。


「ほら、宇佐木が俺らの事裏切ってあの吾妻


とか言うやつとつるんでたときに…それで、


こいつを道路につき飛ばして、わざと吾妻


に助けに行かせたんですよー。いやー。あ


れは笑いものでしたよー!」


「笑い、もの…?」


「結果あいつは自殺するし。馬鹿だよなー」


「…るさい。」


「は?」


「うるさいっ!あんた達に何が分かるんだ!


お兄ちゃんは…あんたらと違って夢を持って


た!」


「うるせーのはお前だよ。」


いきなり髪を引っ張られる。


「痛っ…!」


「あんなやつ、夢だけみた中二病ヤローだ


よ。」


「っ!」


痛さと怒りで、涙が込上げる。


須藤さんは不敵な笑みを浮かべながら、私


を見下ろしている。


「しかし、お前。アイツの妹だったんだー。


可愛いじゃん。スタイルいいし。あ、宇佐


木の女やめて、俺のになれよ。」


「何、言って…」
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