rabbit vanira
まだ静かな住宅街。


いつもは子供たちでいっぱいの公園も静ま


り返っている。


私は四個あるうちの1番右のブランコに腰掛


ける。


空を見上げると青い葉っぱが重なり合って


屋根のように見える。


その隙間から見える青空が、雲一つ無くっ


て、清々しい。


そっと目を閉じる。


今日の悪い夢が、風の音で浄化されていく


ような錯覚に陥る。


その時。


ふわりと風に乗ってほのかに甘い香りがす


る。


この香りは…


「早いね、散歩?」


「…宇佐木さん。」
< 35 / 175 >

この作品をシェア

pagetop