rabbit vanira
「ふぅー」


今日は愛菜が委員会のため、1人で帰る。


恋ってしたことがないから、そう思うと不


思議な気分になる。


そう考えながら歩くと…


「ここ…」


rabbit vanira


来ちゃった…


って、いやいや!いくら好きだからってこ


れはストーカーだよっ!?まずいよ!しか


も、甘い香りがキツイ。


私が唸っていると…


「ありがとう。また来てね。」


「はいっ!」


あ!宇佐木さん…


声をかけようとした時…


「え…?」


宇佐木さんと女の人が抱き合っている。


言葉が出ない。


そのまま立ち尽くす。


「羽咲ちゃん?」


「…宇佐木、さん。私っ」


「なぁに?」


「何でもない…です。」


「…待って。」


「え。」


腕を掴まれ引き寄せられる。


そして口と鼻をハンカチで塞がれる。


「なんか勘違いしてない?」


「んっ…?」


「さっきのハグだ。嫉妬?」


「!」


「でもよく聞いて。今、俺の心にいるのは


1人だけだよ?今、その子を独り占めした

い。」


ぱっと体が離れる。


「ごめんね。苦しかったね。」


「いえっ…」


心臓がドキドキと飛び跳ねる。


「顔色が悪い。あんまりここにこない方がい


いよ。バイバイ。」


「え…」

離れたくない。


でも、私にはどうしようもない。


だって、私は宇佐木さんに近付くこともで


きないから。


立ち尽くすしかなかった。


宇佐木さん。


あなたの心にいるのは誰ですか?


甘いものが嫌いな私じゃダメですか?
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