rabbit vanira
「え…」


耳を疑う。


「…初めて会った時から、気になってた。最


初は、ここまで甘いものに拒絶反応を見せ


る子は珍しいと思った。でも、知れば知る


程、離れられなくなる。一緒に居たいと思


う。自分の気持ちに気づいたのは、公園で


2人で話した時かな。羽咲ちゃんが、俺の話


を聞いてる姿に、不思議と愛しさを感じ


た。触れられないのがもどかしく感じた。」


「…」


そんなこと聞いたら…


「…羽咲ちゃんは、十分苦しい思いをした


よ。きっと、要だって後悔してない。だっ


て、要は…こんなにも愛しい子を守れたんだ


から。」


その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れる。


今まで心の中につっかえていた物が、取れ


た気がした。


私は、宇佐木さんを抱きしめ返す。


その甘い香りに、溺れながら──────
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