rabbit vanira
「えぇ!?」


「…」


「宇佐木さんと別れたって…なんで…?」


「いろいろ、あって…」


「ケンカ?」


「なんていうか…別れたかった…っていうか」


「…嘘、ついてない?」


「え…?」


「だって、苦しそうな顔してるよ?」


「それは…」


息が苦しくなる。


「何かあった?」


私は重い口を開き、途中で止まりながら事


を話した。


話し終わる頃には、涙が止まらなかった。


「出雲…最低っ!」


「でも、ことの発端を作ったのは私で…」


「だからって、羽咲は十分な位苦しんだの


に…」


「でも…レオン君の家族を、奪っちゃって…」


「…アイツ、何もわかってないよね。」


「でも…」


「羽咲も羽咲だよ!?宇佐木さんが羽咲を見


る顔、どのお客さんにも向けてない、すっ


ごい優しい顔してた。それなのに、嫌いと


か言って別れて。宇佐木さんの気持ちも考


えた?ねぇ!今、辛いと思うよ?羽咲が家


族を失った様に、宇佐木さんも大切な羽咲


を失ったんだよ!宇佐木さんの気持ち考え


た?考えたなら、もっといい案があったか


もしれないじゃん!どうして、誰にも言わ


ずに1人で抱え込むのよ!羽咲いつもそ


う。要さんを亡くした時だって、1人で抱え


込んで。羽咲を失いたくないのは宇佐木さ


んだけじゃない!私だって、羽咲が大切!


だから…もっとあたしを頼ってよ…」


「愛菜…」


いつの間にか愛菜も泣いていた。


「…ごめん。言いすぎた…っ!」


私は愛菜に抱きついた。


「ありがとうっ…愛菜。」


「ん、んん…大丈夫…ごめんね。」


「大好きだよ…愛菜。」
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