rabbit vanira
「え…」


私は振り返って宇佐木さんの方を向こうと


する。


しかし。


「ダメ。こっち向かないで。そのまま聞い


て。」


「…はい。」


「俺ね。好きな子がいるんだ。」


「え…?」


耳を疑った。


「その子のことがたまらなく好きなんだ。」


「…」


ショック過ぎて言葉が出ない。


私と別れた間に…


そうだよね。


あんなひどい事言ったんだもん。


受け入れなきゃ。


そう思いながらも、涙が出そうになる。


「ココ最近その子に会いたくってさ。ずっと


その子のこと考えてた。だから、ごめん


ね。羽咲…」


聞くのが怖くなって目をつむった。


すると突然甘い香りに包まれる。


「俺の所に戻ってきて…」


「!」


予想外の言葉だった。


さらに涙が溢れる。


「ずっと羽咲の事考えてた。俺の何が悪かっ


たんだろうって。そうやって考えたらどん


どん悪いところが出てきて。でも、前まで


俺の隣にいた羽咲がいなくなって、喪失感


半端なくって、夜も寝れなかった。」


「ごめん、なさいっ…」


「許さない。」


「…」


それもそうだよね…ひどい事しちゃったし…


「どうしたら…許してくれますか…?」


「ずっと俺の側にいるって約束して。隣にい


てくれなかった分、俺の心を羽咲でいっぱ


いにして。」


「…約束、します…!」


さらに強く抱きしめられる。


私はこの後、甘い香りが強かったせいで気


を失ってしまった。


でも夢の中でもずっと宇佐木さんがいた。


ねぇ。宇佐木さん。


私たち、ずっと一緒にいられるよね?


そう信じていたのに…


私を…









































置いていかないで…
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