隣の部屋にフランス人
「莉々、ちょっと片栗粉買ってきてくれない?」
ちょうどガトーショコラを食べ終わった頃、
お母さんにお使いを頼まれた。
「俺も行く!」
「王子、宿題あるんじゃないの?」
「終わったから、リリーと行く!」
なんだ、珍しいな。いつもならついて来ないのに。
「行ってきまーす!」
王子は嬉しそうにそう言った。
外はもう暗くて、かなり寒かった。
「リリー、手」
「え…」
手つなぐの?だってそんなの…カップルみたいじゃん!
あ!そうだ…私たちはもうカップルなのか!
周りを見ても人はいない。よし。大丈夫。つなぎましょう。
「リリー、冷たい」
「ルイ、あったかいね。燃えてるみたいじゃん」
本当に王子の手はカイロのように熱かった。
「リリーと二人、嬉しい」
「珍しいね、買い物についてくるの」
「本当はいつもリリーと行きたかった。でも、
リリーは俺のこと好きじゃないで、
俺は考えてたから」
「何考えてたの?」
「リリーは俺のこと迷惑って」