隣の部屋にフランス人


*

「おう!川崎じゃん!」

近所のスーパーで王子と片栗粉を探していると
同じバイト先の男子大学生、ゆうくんとばったり会った。

「あー、ゆうくんじゃん」

「何なにー?二人でお買い物?」

ゆうくんは年下だけど、
ため口で話してくる。

バイトの時は仲良く話すけど、
二人でどこかに行くとかはない…そういう仲。

「おつかいだよ。
ルイ、この人同じバイトの――」

ひぃぃぃぃl!!

王子、なんちゅう顔してんの!!

「あ、どうも」

と、礼儀正しく言っているけど、
王子の顔、超怖いんだけど!

別人!これじゃあ、別人!

「あ、じゃあ、ゆうくん、またバイトで」

「おう!またな」


スタスタと歩いていく王子に
私は駆け足で追いつく。

「ちょっと、どうしたの?顔怖いんだけど」

「あいつ、誰?」

「だから、紹介しようと思ったんだけど、
同じバイトのゆうくん」

「あいつ、チャラだったな」
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