隣の部屋にフランス人

「とにかく、ダメなものはダメ」

「リリー、お願い」

「私じゃなくて、総理大臣にでも言って」

「えーー…」

「えーじゃないの。おやすみ」

バタン。

ちょっとかわいそうな気もするけど、
ルールはルールだもんね。
諦めてもらわないと。




そして、12月30日。

夜バイトから戻ると、玄関には
明日温泉に向けて出発する両親の荷物が
置いてあった。

そう、そうなのです!
結局、温泉には両親だけが行くことになり、
王子も私と同じように留守番が決定いたしました。

泊まる旅館でお風呂付の部屋がなかったのと、
他の旅館はもう予約がとれなかったという理由で
王子はキャンセルという結果に。

王子は悔しそうだったけど、
私としてはラッキーかな。

だって、王子と二人きりで年を越し、
夜を明かすんだもの!!

なんか、二人暮らしみたいで楽しそう!

「あ、ルイ」

「リリー、お帰り」

ルイはちょうど、トイレから出てきたことろだった。

「温泉のこと、落ち込んでない?残念だけど…」

「全然落ちてないよ」
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