隣の部屋にフランス人

*

「じゃあ、バイトに行ってきます!
お母さんたち、気を付けてね!
ルイはいい子にしててね!」

「お土産買ってくるからな」

お父さんは嬉しそうに荷物のチェックをしている。

「ばいばい、リリー」

食器洗いをしていた王子は、
エプロンにゴム手袋を付けた状態で
玄関まで来てくれた、が…

「ちょ、手袋から水垂れてるよ!」

「あー、大変だ」

大変だじゃなーい!それくらい分かるじゃん!
びちょびちょの手袋つけたままこっち来たら、
そうなるに決まってるじゃん!

いかん、遅れる。
王子のつっこみをしている場合じゃない。

「ちゃんと、床拭いといてね!じゃ!」



大晦日にカフェでまったりする人はあまりいなくて
バイトは結構暇だった。

「莉々、ちゃん。もう今日はあがっていいよ」

「店長!いいんですか?」

「いいよいいよ。帰ってゆっくりしな」


というわけで、バイトが2時間も早く終わってしまった。
やった!今からスーパーに寄って、
買い物して帰ろう。

王子は一人で寂しいだろうし。
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