隣の部屋にフランス人
私は、なだれの中から一枚の紙を引っ張り出した。
「……王子」
その紙を見て、私は急に不安になった。
「多分、違うよね…?」
「リリー、見ちゃった…」
その声に驚いて、私はとっさに
その紙を本の間に突っ込んだ。
「ルイ!起きてたの?」
「ごめん、階段の途中で起きた。
でも、寝てることにした」
「ちょー!起きてるなら自分で戻ってよ!
私大変だったんだから」
何よ!寝たふりしてたの?
そりゃ、あんなに引きずって起きないなんて
普通おかしいよね?
「リリー、それ…」
「ルイ、この紙って…」
王子はベッドから出て、私の前に立つと、
私が本に突っ込んだあの紙を
すっと引っ張り出した。
「ごめん、俺、フランスに帰らなきゃ」
「そうなんだ。どのくらいフランスにいるの?」
ちょっと家族に会いに行くんだよね?
一時帰国ってやつ?
「しばらく日本に戻って来ない…」
「え…何言ってんの?
留学は一年でしょ?まだ3か月しか経ってない」