君が生きたこの世界で
陽太の家族が、陽太との別れに涙してるとき愛唯羽は陽太を救えなかったことに涙した。

家族以外が残されたホールに戻ると、そこに

「愛唯羽、孝大。
少し時間がかかるからって他の人は別室に行ったよ
私たちはどうする?」

『私は、外にいるよ』

愛唯羽は1人、外に出た。
陽太のように眩しく輝く太陽が愛唯羽を照らした。

『陽太、追いついたかな』

追いついた、というのは空に追いついたという意味だ。
彼は今頃、骨になっているのだろう。
たくさんの人の悲しみを乗せて、彼の魂は空へと追いついただろうか。

「あゆ」

まただ。
また、幻聴。
愛唯羽は先程同様、キョロキョロと周りを見渡す。
誰もいない。

『はは、とうとう幻聴かぁ』

辛いな、と呟いて愛唯羽はその場にしゃがみこんだ。

「あゆ、俺はここだよ」

幻聴、なんかじゃない。
バッと下げていた顔を上げる。

『う、そ…』

そこには、いるはずの無い陽太が立っていた。
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