君の隣で
「…そんなことがあったのか。
噂には聞いていたんだけど。」
「中途半端な時期の人事異動だったから、多分社内でも目立ってたんじゃないでしょうか。」
半ば自嘲的に言った。
「勇馬と別れることよりも、私の仕事がちゃんと評価されなかったことの方が辛くて、苦しくて。」
「…俺は、」
ここまでずっと黙っていた市本さんが口を開く。
「俺は相澤のこと好きだよ。
実力で自分を試そうとして、いつだって自分に厳しくて。」
驚いて市本さんを見る。