君の隣で


市本さんは優しい眼差しでこちらを見る。



私が食べ終わるまでずっと待っててくれた。



「じゃあ休んでて。



俺、また戻らないといけないから。」



そう言って市本さんは部屋から出ていこうとする。



そのとき私が市本さんのスーツの裾を掴んだのは、きっと高熱のせいだ。



「…相澤?」



市本さんは立ち止まってこちらを振り返る。



「…行かないで。」



気づけば、私はそんなことを口走っていた。

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