君の隣で


「まあ、なんだかんだあいつには助けられてきたからな。」



そう言う市本さんの表情は優しい。



「矢島さん、きっと市本さんのこの言葉を聞いて喜ぶと思いますよ?」



「調子に乗るだけだ。



…矢島には絶対言うなよ?」



「あはは。」



「何が面白いんだよ。」



「市本さん、可愛いなと思って。」



すると、市本さんは意外そうな顔をする。



「俺、生まれて初めて可愛いって言われた。



あんまり嬉しいものではないな。」

< 96 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop