再会は、健康診断で。
実際、リピーターが多くて、兄弟みんな土岡産婦人科病院で生まれた……なんて人も多い。
「ありがとうございます。兄共々よろしくお願いします」
上田さんのその言葉に曖昧に笑った私は、病室を出てため息をつく。
ビックリした。こんなところであの平根に会うなんて……。そりゃ、地元から近い産婦人科ではあるけど、こんな偶然いらなかったな。
私と平根航は、小・中学校の同級生だ。少年野球のチームのピッチャーで、勉強もできて運動神経も抜群だった平根は、いつもクラスの中心にいる王様のような存在だった。
顔もあの頃からかわいい顔をしていたから、学年のほとんどの女子が平根に憧れていた。
だけど私は、平根のことが大っ嫌いだった。私は平根に、小学校の六年間いじめられていた。
意味もなく追いかけ回されたり、からかわれたり仲間外れにされたり……。毎日、平根に泣かされていた気がする。
あの頃は、平根に目をつけられる=学年のすべての人間を敵に回すようなもので、私は友達と呼べる存在がいなかった。