再会は、健康診断で。

「成長してるよ。すごいかわいくなっててびっくりしたもん。でも、そういう変わってないところに安心した。本当に彼氏とかいないの?」


「い、いない。そんなもんいたことない」


告白されたことがないわけじゃないけど、全然話したことのない人だったし平根のせいで男の人が苦手だったから。


「え? いたことないって……あのときのキス、もしかして初めてだった?」


平根にそう聞かれて、しまったと思うけどもう遅い。二十五歳にもなって、キスも初めてとかどう思われるだろうと恐る恐る顔をあげると、うれしそうににやけてる平根がいて目を丸くする。


「な、なんでそんなうれしそうな顔……」


「え、だって大好きな子のファーストキスの相手になれたんだからうれしいよね。俺も初めてだったし」


平根の言葉に今度は私がびっくりする。初めてって、嘘でしょ。小学校からのモテぶりを知っているだけに信じられないんだけど。


「西川のことあきらめて違う子と付き合ったりしてみたけど、そういうことする気にはなれなくて。彼女欲しくて合コン行っても全然いいなと思う子と出会えないし、もう一生独身かもなんて思ってたんだ」


見たこともない優しい笑みを浮かべた平根が私の頬を撫でて、私を見つめている。


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