再会は、健康診断で。
恋の劇薬

1


平根の家にアクシデントでお邪魔して以来、週末は平根に会う日々が続いている。


買い物に出掛けたり、公園に行ったり、水族館に行ったり……。


平根と出掛けるのは思いのほか楽しくて、私は週末が来るのを心待ちにするようになっていた。


だからすっかり、この人のことなんて忘れていた。というより、考えてもいなかったんだ。


「ごめんね、西川さん。でも、西川さんも悪いと思うんだ」


にこやかな笑顔を浮かべて私を見下ろしている黒崎さんに、私は壁際に追い詰められて両腕を身体の横につけられて固まっている。


いわゆる壁ドンという体勢なんだけど、意外と近いものなんだな。


「西川さん、あまりにもつれないから捕まえに来ちゃった」


最近、週末はずっと平根と会っていたから黒崎さんからの誘いをのらりくらりとかわしていた。


それに痺れを切らしていたらしい黒崎さんに捕まって、誰もいない会議室に連れ込まれて現在に至る。


笑顔の黒崎さんをなんだか怖いと思うけど、不思議とこんなに近づいてもドキドキはしない。


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