再会は、健康診断で。
私のその勘は当たっていたみたいで、私の顎を掴んでニヤッと笑った黒崎さんがとんでもないことを口にする。
「断ったら、このままキスする」
本気の目でささやかれたその言葉にひっと息を飲んだ私は、コクコクとうなずいた。
「い、行きます」
うなずいた私に満足げに微笑んだ黒崎さんが私から離れて、爽やかな笑みを浮かべる。
「楽しみにしてるよ。あとでメールするから。逃げたら……わかってるね?」
ニコッと微笑んで会議室を出て行った黒崎さんを呆然と見送る。
やっぱり性格が全然違うし。黒崎さんて、本当はあんな人だったの?
普段見ている姿とは、あまりにも違う姿に動揺を隠せない。優しくて落ち着いてる紳士的な人だと思っていたのに、なんか騙された気分だ。
にしてもあんな猫をかぶった危ない人と食事なんて……私、大丈夫だろうか。
そうは思うけど、最後の脅しともとれる「逃げたら分かわってるね?」、という言葉が怖すぎて私は仕事が終わってから素直に黒崎さんに指定された場所に向かう。