再会は、健康診断で。

『え?』


「だから、振ったの! 優しい落ち着いた人なんて嘘で本当は性格の悪い最悪な人で、振ったからムカつくって嫌がらせでいろいろされたの。ご飯に行ったのだって、行かないとキスするって脅されたんだもん」


泣きそうになりながら一気にそう言うと、電話の向こうで平根が息を飲んだのがわかった。


『え、キス!? なに、その人。結城さんより性格悪い。かえ、本当になにもされてないの?』


「首ちょっと舐められただけ。嫌だったけど、平気」


思わず舐められたところを手で撫でる。今思い出しても、鳥肌がたつ。ひとり嫌な気持ちになっていると、平根がはあっとため息をつく。


『それ平気じゃないし。でも、そうなんだ……振ったんだ』


ホッとしたような平根の声を聞いて、平根がどれだけ不安に思っていたのかを理解する。その不安を、取り除きたいと思った。


「だって私が好きなのは、平根だもん」


そう思ったら、思っていた以上にするんと、その言葉は出た。あまりにもするんと出すぎて自分でもビックリしたくらいだ。

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